感情の蓄積というパラドックス。

フレームの乗せ換えのご依頼をいただくといつもテセウスの船という思考実験を思い出します。
ある物体において、それを構成するパーツが全て置き換えられたとき、過去のそれと現在のそれは「同じそれ」だと言えるのか否か。というものです。

これを自転車に置き換えるのは詭弁でしょうか。
そこには物理的なパーツだけじゃなくて精神的な蓄積を無視できない自分がいます。

TYRANT BIKES BEASTIE Frame Set Polish Matte

毎度のことながらビフォーの写真を取り忘れてしまったのですが今回はBEASTIEをご指名いただきました。
元々乗られていたのはFUJI x TOMATOの完成車。
実は僕の父が関わっていたピストバイクでもあるので勝手に親近感を感じていました。
ブロ横が白楽にある頃からカスタムやメンテナンスで足繁く通っていただいていたのですが、
ついに新しいフレームをとご相談いただいたはこび。

これまでのバイクと正反対なフレームに挑戦したいとのことでしたので
クロモリ→アルミ、パシュート→ホリゾンタル、てな感じで。
やっぱりないものねだりというか、真逆のバイクってどうしても欲しくなっちゃうんですよね。

フレームが新しくなることで乗り心地や見た目は大きく変わりました。
でも座り慣れたサドルや見慣れたホイールは以前のバイクの面影をどこかに残していて。
感情はパーツにこそ蓄積されるのだと根拠のない主張をしたくなるのです。

最初は違和感を感じるかもしれませんが、慣れるにつれて以前のバイクとの境界線は薄れていくことと思います。
ここ行ったのってフレーム変える前だっけ?
記憶の遠近法の中でそれらは混ざり合いピストバイクという概念に対する感情が残る。

やっぱりテセウスの船とはちょっと違うかもしれませんね。
でもいつかこのバイクも記憶が曖昧になるほど馴染んでくれたら嬉しいです。

Toshi

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