BROTURES KICHIJOJI
Customer’s Bike Check “B” REAL.

-MAVERICK CYCLES JEDAN Custom Bike-

ありがたいことに僕たちBROTURESは日々、実に多種多様なピストバイクのカスタムオーダーをいただいています。
ただ、どんなにカッコいい一台でも、もちろん完成後にはすぐにお客様に納車し、店頭から旅立ってしまうのが現実です。
特に、遠方からのご注文となれば、完成後はスタッフの目にも二度と触れることがない…なんてことも珍しくありません。
一台一台に込められた、オーナーとスタッフそれぞれの想いやこだわり。
ピストバイクにかける情熱と、妥協なき手仕事の結晶のようなバイクたちを、どこにもお披露目できないのは、正直、すごくもったいない。
だからこそ僕たちは、そのリアルなカスタムを、世界中のピストフリーク、そしてこれからピストに乗ろうと思っている未来のライダーたちにも見てほしい、知ってほしいと思いました。

そんな想いから始めた、不定期更新の企画。
その名も 「BROTURES のリアル」――略して “Bリアル”。

今回は話題沸騰中のLA発のサイクルブランド MAVERICK の JEDAN が組み上がったので、早速シューティング📸
ステムのてっぺんからリアタイヤの縁まで、隅々まで拘りの詰まった車体なだけに、凄まじい情報量になっています。
そのため今回は、コックピット編（上半身）とドライブ編（下半身）の2部編成にてご紹介していきたいと思います。

【Spec Sheet】
FRAME SET : MAVERICK CYCLES JEDAN
HEAD SET : CHRIS KING NoThreadSet
HANDLE : NITTO FOR SHRED BAR
STEM : THOMSON ELITE X4
BRAKE LEVER : PAUL LOVE LEVER
BRAKE CABLE : SIM WORKS BY NISSEN
SADDLE : WTB GRAVELIER
SEAT POST : THOMSON ELITE
SEAT CLAMP : CHRIS KING Seatpost Collar

というわけで、まずはフレームの紹介から。
今年からBROTURESで新たに取り扱いがスタートしたLA発のブランド MAVERICK CYSLES のグラベルシングルスピード、JEDAN。

最大の特徴は、幅40cまで対応する広いタイヤクリアランス。
オンロードはもちろん、オフロードやグラベルライドにも対応する、まさにオールラウンドな一本です。
さらに、フォーク・トップチューブ・ダウンチューブには合計4箇所のダボ穴を備え、積載力も文句なし。
キャンプツーリングから街乗りユースまで、シーンを選ばず活躍してくれます。
また、ブレーキマウントはキャリパー／カンチ／Vブレーキの3種類に対応しており、ライダーの用途や好みに応じた柔軟なカスタムが可能です。

パイプには英国 Reynolds社の「725」クロモリパイプを採用。
こちらは熱処理を施したバテッドチューブで、高強度でありながらしなやか。
バネのような反発性も特徴で、ペダルを踏み込んだ瞬間にフレームがわずかにしなり、溜めた力の反発で「押し返す」ような独特の加速感が味わえます。
また、スチール素材ならではの振動吸収性も抜群で、ロングライドやグラベルのような荒れた路面でも身体への負担を効果的に軽減してくれます。

今回ご注文いただいたオーナーは、最近お子さまが成長されて、休日は親子で公園へ出かける機会が増えてきたとのこと。

そんなライフスタイルの変化に合わせて、オンロードもオフロードも快適に楽しめる一台を探していたところ、まさにドンピシャのタイミングで JEDAN と出会い、購入を即決していただきました。

ヘッドパーツには、フレームのロゴカラーと合わせて “一生モノ” として名高い CHRIS KING の NoThreadSet をチョイスしました。
ヘッドパーツはボルト固定ではなく “圧入” で取り付けるため、何度も脱着を繰り返すとフレーム側が傷みやすい→ここが最大のリスクです。
だからこそ、最初から信頼できる製品を選ぶことが何より大切なのです。
NoThreadSet は、高精度ベアリングと独自のシール構造によりガタつきや異音を長期にわたってシャットアウト。
圧入精度も抜群で、取り付け後のフィット感やステアリングの滑らかさは他社の追随を許しません。

「ヘッドパーツにこだわる理由がわからない─」

そんな方にこそ、“交換しなくていい＝ずっと調子が良い” という安心感を味わっていただきたい。
見た目のアクセントとしても映え、メンテナンスコストやフレーム寿命の面でもメリットが大きいCHRIS KING のヘッドパーツは、まさに “賢い投資” と言えるでしょう。

ハンドルには、直線的でソリッドなルックスと、間違いのない操作性、さらに国内製造ならではの確かな品質を兼ね備えたNITTO FOR SHRED BAR をチョイス。

素材の無垢な美しさ、そして職人の手によって丁寧に仕上げられる独特の“曲げ”のフォルム。
この造形美こそがNITTOのアイデンティティであり、使うほどにその魅力を実感できます。
そして何より、このハンドルの名前にある “SHRED” は、「攻めのライディングを楽しむ」というカルチャーのマインドそのもの。

オフロードでラインを切り拓くもよし、街中をアグレッシブに駆け抜けるもよし。
FOR SHRED BARは、そんな“走りを遊ぶ”ライダーたちのために作られた一本です。

ステム・シートポストには、航空機部品の製造で培ったノウハウを惜しみなくサイクルパーツに落とし込む、アメリカの名匠 THOMSONをセレクト。

アルミの無垢な塊からCNC加工で削り出される造形は、精密機械のような美しさ。
軽量でありながら剛性が非常に高く、ライダーの力を余すことなくフレームに伝えることができます。
とくに今回のようなグラベルシングルスピードというカテゴリーにおいて、信頼性と耐久性の両立は非常に重要な要素です。
ラフな地形でも安心して踏み込める剛性と、長く使える安心感がTHOMSONの魅力です。

ブレーキレバーは、ドライブ編でも紹介予定のコンポーネントブランド PAUL から、名作 LOVE LEVER をアッセンブル。

6061アルミニウムの無垢材から CNCで丁寧に削り出したレバーは、角度や肉抜きの一つ一つにまで計算が行き届き、手に取るだけでその品質の高さを感じさせます。
支点には高精度のシールドカートリッジベアリング を採用しているため、レバーを引いた瞬間から戻り切るまで、摩擦をほとんど感じさせず、まるで指先に“吸い付く”ようなタッチを実現しています。
ダートでの微妙な速度調整や、街乗りでのストップ＆ゴーも極めてストレスフリーです。

そのレバーから伸びるケーブルは、SIM WORKS とNISSEN が共同開発したステンレスブレーキアウター。

日本の老舗ワイヤーメーカー日泉と、シムワークスの美意識が融合した逸品で、しなやかな取り回しと独特な光沢が魅力です。
加えて、他にはない豊富なカラーバリエーションも魅力。
今回はフレームのロゴカラーに合わせたElectric Blueをチョイスしています。
美観と性能を両立した“魅せるケーブル”として、差し色の効果は絶大です。

※シートクランプにも、ヘッドパーツと同じく CHRIS KING をセレクトしてます。

細部のパーツにまで意識を向け、素材感・機能性・色味のバランスを丁寧に整えることで、統一感のある美しい仕上がりに。
見た目の完成度だけでなく、使い続けることで信頼が深まっていく。
そんな“本質的な満足感”を生むパーツ選びです。

サドルには、オンロードでもオフロードでも快適なフィッティングを提供するWTBのオープンフィットモデル「GRAVELIER」 をインストール。

骨盤をしっかりと支える形状と、適度なパッド量により、長距離でもストレスの少ない安定した座り心地を実現しています。
また、現代的な ショートノーズ設計を採用することで、前傾姿勢時のペダリング効率を高め、ライダーの動きを邪魔しません。
グラベル向けとして登場したこのモデルですが、その完成度の高さからジャンルを超えて広く支持されており、今や“サドル界の新定番”とも言える存在です。

(ドライブ編に続く…)