ギア比という沼。
ピストバイクは変速機の無いシングルスピードです。
地形やその時の体力によってガチャガチャと漕ぎ心地を変えることは出来ません。
潔く、その決められた一つの漕ぎ心地で進み続ける。
これが、購入する前の人と購入した後の人では、印象が大きく違うようです。
まずピストバイクを購入する前のお客様から聞くお話。
「ギア無くて、坂登れるの?」
「長距離は絶対に無理でしょう」
もちろん、自分だってこのピストバイクを知るまで、同じように思っていました。
そこをメリットとして捉えるか、デメリットとして捉えるかは各々あると思いますが
個人的にはメリットとして考えます。
そして購入した後の皆さんもよくこのように話します。
「自分が走る地形に合わせてセッティングを出すのが楽しい」
「固定ギアは自力以外に一度回せば惰性がアシストしてくれるので、スピードに乗ったら楽でどこまでもいけそう」
「メンテナンスがほぼ皆無で、日常使いにとっても楽チン」
これが、多くの人の意見。
まだまだネガティブに捉える人も多いはずですが、シングルスピードこそ一番奥が深いギアだと感じています。
乗り手の体力、組み付けのセンス、成功と失敗を繰り返して自分好みのシングルスピードを仕上げていく。
とまで言ってしまったら過剰でしょうか。笑
そこで今日は"セッティングを出すのが楽しい"
ここについてちょっとお話ししたいと思います。
まずギア比。
ピストバイクは前ギア÷後ろのギアで漕ぎ心地の軽さ、重さが変わってきます。
皆がよく話している「2.7くらいが良いんじゃないー?」というのを分かり易く図でご紹介。
青で記されている数字はオススメのギア比です。
基本的な見方として、数字が小さければ軽く、数字が大きければ重い漕ぎ心地となります。
2.5や2.6はとても軽い漕ぎ心地だけどトップスピード重視では無く、3.5以上は重くて坂を登るのも一苦労だけどスピードを出し易い。
マリオカートで言えばヨッシーは2.7、マリオは2.8-3.0、ドンキーコングやクッパは3.3以上。笑
関東圏の話になっちゃいますが、例として自分が自転車通勤で使っていた学芸大学→原宿を参考までに。
駒沢通りは起伏もなく、朝からゆるーい気持ちで楽しませてくれます。
が、しかし。立ちはだかるのは代官山。そう、山なんです。これが厄介。
駒沢通りを抜けて山手通りに向かい気持ちよーく下って行くと、激しい上り坂が現れます。
登り切ったと思ったら、また坂が現れるんだ。辛い辛い。笑
自分の場合、ここをポイントにギア比のセッティングをしていました。
駒沢通りを走るだけなら3.0以上のギア比でも良いけど、この代官山を超えることを考えたら2.7くらいのギア比が一番良い。
表現が難しいけど、2.7くらいであれば比較的長めの上り坂であろうと、座ったまま登りきれるでしょう。
2.8でも良いけど、学芸大学→原宿間は信号も多いし、2.8ではトップスピードに達する事が出来ないのも理由の一つ。
そう、個人的な意見ですが、ギア比を選択するとき大事にするのは「道路の起伏」と「信号間の距離や数」
皆さんも是非、今一度自分の走っている場所と乗っている自転車のセッティングが合っているか確認してみてください。
もしかしたらフレームを変えるより、ホイールを変えるより、感動する体験を得られるかもしれません。
補足ですが、港区や世田谷エリアは坂が多いので軽めのギアセッティングがオススメです。
逆に下町エリアにお住いの皆さんは坂も少ない印象を受けるので、重めのセッティングに挑戦するのもアリかと。
現在BROTURES原宿店ではSUGINO、DIGIRIT、EURO-ASIAなど、人気どころのギアを揃えています。
なんだか梅雨も無さそうな勢いの晴れ間が続いているし、ギア比をカスタマイズして新しい乗り心地を手に入れてみては如何でしょう。
ご相談、随時お待ちしています。
BROTURES HARAJUKU
Hiramoto Yusuke