お局店長の戯言ブログVol,1 -ヴィンテージ-
本当にシリーズ化していくものなのかどうなのか分かりませんが、スタッフの子達が書かないような店長の戯言を記していこうと思います。
よって、読んで頂いても、読んで頂かなくとも構いません。笑 人によっては特に意味もない情報です。笑
記念すべく第一回目は「中古とヴィンテージ」に関して。
自分自身、身の回りのモノを見渡せば年代物が多く転がっており、今季モデルや新品という類いのモノはどうやら惹かれない性分。
そこでよく考えるのが、中古とヴィンテージの違い。
同じような言葉として捉えられることの多い2つのワードですが、中身を紐解いていくと本質は全く異なるような気がします。(超個人的な意見)
まず、中古。
一度人の手に渡って使われたもの。型落ちや新たなモノと交換するタイミングで不要になったもの。この中古品という言葉に関して抱くイメージは、悲しいながら、使い古されたモノの安売り。
一方、ヴィンテージ。
これに関しては、なんとなーく手を出したくなる訴求力が言葉の中に隠されているようにも。きっと多くの人がそう感じ取るのかと思います。このヴィンテージに関しては「ある一定の期間が経っても評価されるモノ」「当時の売価よりも価値が出ているモノ」「入手困難なもの」実に購買意欲をそそるフレーズが頭の中に浮かびます。
同義語のようにも感じる2つの言葉ですが、その裏に隠されている意味は全く別のもの。ヴィンテージはモノを買うだけではなく、受け継がれてきた歴史そのものを買うと言っても過言ではないほど。
僕が最も尊敬する人が言っていた言葉で「ヴィンテージを手にするというのは"預かる"ということ。大切にさえすれば、モノは人の生涯よりも遥かに長生きするし、きっと俺たちが死んでも、残るんだろうな。残って欲しいから、買うんだろうな」という話を聞くことがあって。それを聞いてからモノに対しての愛情だったり、歴史を知ることの大切さをより深い所で感じ、知る努力をするようにもなりました。単純に高いだけがヴィンテージではない。
つまり何が言いたいのかというと、時代を経ても評価される"ヴィンテージ"という世界は美しい。という話。
それでは話を自転車に移しましょう。2つの三角形が対になるフレーム、車輪は2つ、変速機無し、前にも後ろにも進む。僕らが販売しているピストバイクという乗り物は、自転車として最古の構造を有する乗り物の一つとして認識されていています。その歴史は実に2世紀分にも値するとか。それが紆余曲折を経て2024年、僕らの手で販売できるという奇跡を忘れちゃいけません。
例えばGIBSONのレスポール。ギターをやってない人でもきっと目にしたことある一本。
1952年にレスポールの手によって生まれた一本。エレキギターとして誰しもが思い浮かべるルックス。1957-59年あたりに製造されたモデルは億を超えるものもあるし、時代が刻まれたひび割れや傷は"レリック"という言葉を用いて評価されるほど。多くのモノが時代と共に形を変える中、このレスポールは今も昔もこの形。GT-Rなんてマウスパッドみたいになっちゃったしね。テレビなんて1cmくらいの厚さしかないし。
ピストバイクも同じく、先代が培ってきた技術、発想、成功も失敗も、一つ一つに意味があり、一体この業界に何人の人が携わり、何人の人が良い想いをして、何人の人が苦渋を飲んだか。そう考えるだけでもロマンチックな乗り物。それが僕らの売っている自転車。
その長い歴史の中でも高額なヴィンテージバイクとして代表的なのはCINELLI RASERとか。近代だとCANNONDALE TRACK(通称キャントラ)とかがポピュラーに愛されているヴィンテージピストなのかな。
Cinelli RASER
Cannondale Track
たまたま同じ色味になっちゃったけど笑 独特のエアロ加工を有していたり、アルミフレームに鉄フォークとか。ブランドとしては一種の賭けであるプロダクトだったのかなと想像してしまいますが、その賭けに勝った功績として、今の尚、多くの人がネットと睨めっこ。既に手にしている人、羨ましいです。ここら辺も後世に語り継ぎたいバイクであるのは間違い無いでしょう。
そして昨今は20インチのヴィンテージBMXもブーム再燃していますね。
個人的にはCINELLI MX-1やMatthewsのMonoshockを狙っていて、この日本に置いている店を一つだけ知っているんだけど、何回お願いしてもこれだけは販売出来ないと断られていて、、。深く深くその歴史を知る人だからこそ、手放すことは出来ないんだろうなーと。それはそれで、余計欲しくなるんだけど。笑
CINELLI MX-1
Matthews MONOSHOCK
いいでしょう、この鉄チンブレードフォーク。シートチューブ横をモノショックが通っているから、カーブをたくさん曲がるとフレームが折れちゃうらしく、よって74-76年?の2-3年しか製造されていないらしく、状態がいいバイクが滅多に出ない。目撃情報、売ってもいいよって人いたら、お店まで電話ください。笑
このように、僕らが扱っている自転車もいつかヴィンテージとして扱われ「〇〇年のLEADER、めっちゃかっこいいよね」とか「あのDOSNOVENTAどこにも売ってないよー」とか声を爺ちゃんになって聞けたら幸せだなと。ピストバイクは間違いなくこの後の100年も乗り続けるべき乗り物だし、時代を繋ぐという意味で僕らの代で無くしてはいけない思っています。
その1人として自分はお店に立ち続けているし、その1人として皆さんにもピストバイクを手にして欲しい。
まあ、長くなっちゃったし商売っ気の無い話でもあるし、きっとこんなくだらない内容は誰も書かないだろうし笑 たまーに気分見付けて、頑張って書いていきたいと思います。最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。
それでは皆さん、またBROTURES原宿でお会いしましょう!
※サムネイル画像は入社時代に胃袋を支えてくれた横浜、白楽の名店"サリサリカレー"の写真です。僕と自転車の関係性はこの一皿から始まりました。笑