ただ軽くする、それだけで良いのだろうか

「パーツを軽量化すればもっと速くなるはず」

ピストバイクに乗っていて、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。

ハンドルを軽く、ホイールを軽く、クランクを軽く。

確かに車体重量が軽くなれば、それは持ち上げたときにすぐに実感できます。

しかし、実際に走り出してみると

「思っていたほど加速しない」

「むしろ以前のほうが踏みやすかった」

「スピードの伸びが物足りない」

そんなことを感じることも少なくありません。

軽量化=速さではない理由

前提として伝えたいこととして、ピストバイクは『軽ければ軽いだけ速い』というほど単純な乗り物ではありません。

固定ギアという、ペダルを踏み込んだ力がダイレクトに動力へ伝わるシンプルな構造だからこそ、パーツそれぞれの要素が 『速さ』に大きく影響します。

例えば、軽量化を優先するあまり剛性の低いパーツを選んでしまうと、ペダルを踏み込んだ力の一部がパーツのしなりに使われてしまいます。

「踏み出しが鈍く、高速域まで伸びていきにくい」

数字の上では軽くなっていても、必ずしも速くなるとは限らないのです。

本当に加速感を与えるのは「重量」より「性能」

先日とあるお客様からカスタムのご相談をいただいたので、実際のオーダー内容に触れながら説明してみようと思います。

 BROTURES F35 Carbon Clincher Rim

DT SWISS TRACK HUB

今回オーダーいただいたのは、かねてからオーナー様が憧れを持っていた BROTURES F35 にDT SWISS製のトラックハブを合わせた1本。

そもそもカーボンリムはアルミリムと比較して比重が軽い分、より少ない重量かつ高い剛性を出せるのが特徴です。特に BROTURES F35 はその軽量性と剛性のバランスに突出しており、『地面を蹴る力強い感覚と浮遊感のある高速巡航』を持続します。

対して DT SWISS TRACK HUB。

このハブは他社製品と比較してもかなり密度の高いスチールシャフトを使用しており、それ故にリムの高い剛性を逃すことなく動力に繋げることができます。

ある意味一才無駄のない組み合わせであるこの1本は、『加速感を与える』カスタムパーツといえるでしょう。

クランクやチェーンリングも、加速性能を左右する重要なパーツです。

『軽いクランクにすれば踏み出しも軽くなるのでは?』と考えがちですが、ここにも軽量化だけでは解決できないポイントがあります。

ペダリング → クランク → チェーンリング → チェーン → リアホイール

と踏み込みのパワーが伝達する中で、クランクやチェーンリングの剛性が不足していると力の一部がパーツのたわみに使われてしまい、加速するための力に変換されるまでにロスが生じます。

実際、超軽量なクランクよりも高剛性なクランクを選ぶことで結果として『加速が良くなった』と感じられるケースがほとんど。

SHIMANO DURA-ACE FC-7710

SUGINO SSG144 CHAINRING

オーナー様よりオーダーいただいたのは、こちらも是非使ってみたいとご指名をいただいていた SHIMANO DURA-ACE FC-7710 。

SHIMANO独自のオクタリンク規格を採用しており、剛性が高くパワーロスが限りなく少ない形状のクランクともいえます。その上アームが中空構造となっていることで、軽量性にも優れているという名品。

合わせる SUGINO SSG144 CHAINRING もクランク同様に高い剛性が特徴。
それからSUGINO社の代名詞ともいえる高精度な歯ひとつひとつも、ペダリングの動力が逃げることを防いでくれます。
パワーロスが少ない高馬力エンジンだからこそ、普段の通勤や坂道ですら圧倒的に楽に、そしてグングンと加速して走行ができるようになるんです。

実際に今回のカスタムを経て、オーナー様から
『漕ぎ出しが滑らかになり、加速感がめちゃくちゃ気持ち良いです』
『軽トラがスポーツカーになったんじゃないかというくらいの感覚』
とありがたいレビューをいただきました。

 

適材適所という考え方

もちろん、軽量化そのものが悪いわけではなく確かなメリットもあります。

ストップ&ゴーの多い街乗りにおいては、『何度も車体を加速させることになる』ため、重量が軽いほど漕ぎ出しの負担を軽減しやすくなります。

さらにホイールなどの回転部の軽量化は、ペダリング時の重さを軽減してくれる役割もあります。

つまり軽量化には間違いなく効果があり、その恩恵を実感できる場面は数多く存在します。

「軽量化」ではなく「速くなるカスタム」を

パーツ選びで大切なのは、軽さという一つの数字だけを見ることではありません。

『どこを軽くするのか』
『どこには剛性が必要なのか』
『どこに回転性能を求めるべきなのか』

それぞれの役割を理解して組み合わせることで、初めて理想の走りに近づいていきます。

加速性能を求めるなら、軽量化はあくまで選択肢の一つ。

本当に目指すべきなのは、適材適所で適したパーツ性能を引き出すこと。

その違いは重量としての軽さ以上に、走り出した瞬間にはっきりと感じられるはずです。

このブログをきっかけに、『愛車をカスタムしてみたい』『もっと加速感のある楽しい1台にしたい』と感じていただけた方は是非相談に乗らせてください。

店頭に限らず、公式 LINEからの問い合わせも大歓迎ですのでお気軽にお待ちしております!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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