それは、もはや様式美の類である。

僕ね、ラグフレームが自転車の中で1番美しいんじゃないかって思うんです。
ラグってのはフレームのパイプ同士をつなぐ部分のことを言うんですけど。
これがぶっちゃけ時代遅れなんですよ。
TIG溶接などによる”ラグレス”のフレームがメインストリームを闊歩する現代で、あえてラグフレームを選ぶメリットはあまり多くありません。

それでも僕はラグレームが大好きです。

今やラグフレームを製造しているブランドはそう多くないです。
逆になんで彼らはそんなフレームを作り続けるんだろうって。
そこにはもうリスペクトしかないんじゃないかと。

ロードレーサーの一時代を築いた手法とはいえ、それは昔取った杵柄にしがみつくわけでもなく。
当時は副次的な魅力としていた、この造形美くらいしか取り柄のない残滓。
それがどうしても愛しい。

別に突き詰めた性能を求めているわけじゃない。
ラグレームを作ること、それに乗ることは、もはや様式美の類であるのでは。

Dosnoventa Barcelona

DosnoventaのBARCELONAは彼らの最初で唯一のラグフレーム。
派手なデザインの印象のあるブランドですがこのフレームだけは一貫してシンプル。
シンプルが故にラグの美しさが際立つってもんです。

そんなオールドスクールなフレームをそのままクラシカルに組んだんじゃあ芸がない。
このバルセロナを、ないしはピストバイクを楽しむには型破りでなければ。
ラグフレームが最盛期だった頃にはできなかった組み合わせで現代にアップデートしてこそ、Dosnoventaがこのフレームを作り続けた意味がある。

BROTURES F-35 x DT SWISS TRACK HUB

MICHE PISTARD 2.0 CRANK SET

NITTO for SHRED BAR φ25.4

FLITE 1990 NJS embroidery

Sim Works by Nitto Froggy Seat Post

当時レースで最速を追い求めたフレームは、現代では街乗りで渇望されるのです。
ロマンだとか、カルチャーだとか、曖昧で不確定なものにこそ身を委ねるべきだと。
そもそもピストバイクなんて元来便利な乗り物ではないのですから。

世の中、便利になりすぎちゃあいないですかね。
少し不便なくらいが愛嬌があって面白いでしょ。
変な自転車なんですから、変な方向に突き通して尖ったらいいじゃない。

それこそがピストバイクの正しい楽しみ方なんだと思います。

Toshi

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