GOKISOはピスト界のロールス・ロイス

皆さん、最近ホイール組んでますか?
YouTubeで横浜店のミッツ&風村コンビによるホイール組みをご覧いただいた方には、その奥深さや面白さが少しは伝わったのではないでしょうか。
そんなところで今回は、お客様からご依頼いただき“極上のカスタムホイール”を組ませていただきました。あまりにテンションが上がって、いてもたってもいられず書いています。
今回の目玉はそう、“GOKISO”のピストハブ。
GOKISO TRACK HUB
Front / Rear Set ¥229,845- (taxin)
僕らでさえ、年に一度見られるかどうか。見るというより拝むと言ったほうがしっくりくるかもしれません。
過去のブログに何度か登場しているので、名前だけは知っているという方もいるかもしれませんね。とにかく、とんでもないハブです。
まずは軽くGOKISOのご紹介から。
愛知県にて超精密工作機械を手掛ける"近藤機械製作所"から生まれたのがこのGOKISOというブランド。
名前の由来は会社の発祥の地である御器所町から名前を取っているとのこと。僕も数年愛知県に住んでいたので馴染みのある方もいるかもしれませんね。
御器所生まれでこんなブランドがあったとは...
長年にわたり航空機部品、特にジェットエンジンの超精密加工に従事してきた背景を持ち、2011年にはあのロールス・ロイス社からサプライヤー認定を受けています。
「ロールス・ロイス」と聞くと、街中をギラギラ走る高級車を思い浮かべる方が多いかもしれませんね。
しかし実は、ロールス・ロイスは航空機用エンジンの製造で世界的に知られ、むしろその分野で財を成した企業です。
空港を見渡してみると特徴的なRRマークのエンジンを搭載した飛行機がたくさんいるはず。
そんな航空機部品製造で培われた高度な技術と厳格な品質管理基準を自転車部品の世界に応用したのがこのGOKISOというブランドなわけです。
かつてのロールス・ロイスが自ら高級車を手がけていたように、近藤製作所は自社ブランドとしてGOKISOを作った。
そう、GOKISOはまさに“ピスト界のロールス・ロイス”なのです。
このパーツがもっともっとピスト界で広まって欲しい思いから、あえて今回のようなタイトルにしてみました。本当に良い。
GOKISOは「世界一のホイールメーカーになる」というコンセプトのもと、自転車愛好家でもある近藤機械製作所の社長自身のサイクリング経験を活かし、数々の超高性能パーツを生み出しています。
製品の設計から製造、組み立て、検査に至るまで、すべての工程が一貫して日本国内で行わるMADE in JAPANの拘り。
すべてのハブにシリアルナンバーが刻印され、1つ1つに専用の保証書付き。
保証期間はなんと10年、有償修理だと最大で30年。
ハブの寿命より先に、自分の体のほうが先にガタが来そうなくらい使えます。
メインはロードハブですがピスト用のトラックハブを出してくれているのがとても嬉しい。オーバーホールを含むメンテナンスも承ってるそうなのでアフターサポートも抜かりなし。
なんといってもGOKISOの売りはそのありえない回転性。手で持って回してみるとハブでは感じたことのない回転。君は三ヶ島のALLWAYSかってぐらい回ります。
「グリスの抜けきったDURA-ACEみたい」なんて言うスタッフもいるほど。
構造を説明すると、通常は左右各1個、合計2個のベアリングを使用するところ、左右各2個、合計4個のベアリングを使用する「ダブルベアリング」構造を採用しています。
いや、ここまではまだ理解できるんです。
確かに4つあればその分、回るに決まってる。
重要なのはこの後、、、
このハブ、外側のボディと中身が分離されて浮いてます。
中身が浮いてます。浮いてるんです。
これによってトルクを掛ける瞬間や地面からの突き上げなど、乗車時のあらゆる衝撃からベアリングを守り、回転を阻害する要素を無効化するというわけです。
よって、漕ぎ心地は高回転というより無抵抗といった感覚に近いかも知れません...回り出したら一生止まらない、みたいな。
浮いてるなんて宇宙でしか聞いたことないです。地球人には難しいので、スムーズに動けるよう地面から少し浮いたドラえもんと一緒だと思ってください。
と、まぁ1つずつ技術を説明しているとブログを書き終わるのが朝になってしまいそうなのでこの辺に(かなり噛み砕いて一部ご紹介したので、続きはGOKISOさんのHPをご覧ください)
今回、このとんでもないロールス・ドラえもんハブを組み合わせるのはENVEのSES7.8。
僕らが考える組み合わせとしては最高峰の組み合わせです。ENVEはブレーキ面のあるリムが終了してしまったので価値的にもかなり高い1本になりそう。
幾度となくホイールを組んできた東のプロフェッサー風村氏も気合いが入ります。
もう組んでいる瞬間から雰囲気ありまくり。この時点でよく回るホイールってのが目に見えてわかります。
ちなみに重量はフロントで330g。耐久性を重視したPhilwoodでも262gなので重量感はたっぷり。
自転車業界においては"軽さこそ正義" "軽い=速い"とされてきましたが、このハブを知るとその常識は疑ってしまいますね。
ベアリングを要する箇所に重量という概念は不要かもしれません。
こうして完成したENVE×GOKISOの極上ホイール。
横浜店のBIG BOSSジュンキさんもその仕上がりに思わず笑みがこぼれます。こんな光景なかなか見れませんよ。
使用前でこの性能なら、グリスが馴染んだGOKISOはどうなってしまうんでしょうか。末恐ろしい。
そしてそして、このホイールをインストールするのはカーボンフレームのLOOK 875 MADISON RS。
これ以上の組み合わせがないってぐらい理想を追求していただきました。
ありがたや。
LOOK×ENVE×GOKISOのスペシャルな車体が出来上がりました。
僕自身もこの車体は、オーナー様と1からじっくりパーツを相談して組み上がったので思いもひとしお。
LOOKもENVEもGOKISOも、それぞれがどのブランドにも負けない強い1台に仕上がりましたね。
タイヤには美学の色合わせを使ってピレリのP ZEROチームエディションを選びました。こちらも限定品のため、まさに至れり尽くせりの仕様となっています。
実は、オーナー様のご厚意で試乗させていただいたのですが、それはもう最高の漕ぎ心地でした。
前述のように、感覚は無抵抗に近い。どこまでも走りたくなるような唯一無二の回転性は乗っていて、とても気持ち良いものでした。(風村さんも「こりゃ走るねぇ」と感動の様子)

ロールス・ロイスの車は「グラスに入れたワインがこぼれない」なんてよく言いますが、衝撃を無効化するGOKISOハブの性能も、まさにそれと同じレベルの滑らかさを実現しています。
今回のタイトルも決して大げさではなかったのかもしれません。
今回は、久しぶりに横浜店で組み上げたGOKISOハブについてご紹介させていただきました。
ピスト業界でこの素晴らしいハブがもっと普及してほしいという想いから、できるだけ分かりやすい内容でレビューをお届けいたしましたが、いかがでしたでしょうか。
自分の車体はもうPhilwoodやChrisKingを使ってカスタムし終わってるからなーって方、まだGOKISOがあります。
チタンフレームの前にぜひGOKISOを。カラーも好きな色に指定できますよ。
最近BROMPTON用のBBも出したみたいなので、ピストで盛り上がれば色んなパーツが出るかも...というか出て欲しい。

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