TYRANT BIKES LEGACY再入荷のお知らせ。今回が最後の入荷となります。
TYRANT BIKESの中でも唯一無二のクロモリバイク、LEGACYが再入荷。
本ブランド創設者を中心に、サンフランシスコにてこのカルチャーの核を担ってきたMASHメンバーであるEmi Brownなどが集結し、過去の経験を活かし様々な意見を重ね合い誕生したLEGACY。往年のクロモリフレームをプロダクトの軸としながらも、現代のニーズを遺憾無く盛り込んだ名器が再入荷です。
TYRANT BIKES LEGACY Frameset ¥104,500(税込)
2024年4月23日 再入荷分、発売開始です。ご購入、ご相談はBROTURES各店舗、またはオンラインストアにてお願いします。
まずはこのLEGACYに関して、プロダクトの根源となる"Modern and Classic"として選ばれたクロモリという素材についてご紹介。
ピストバイクのフレームを製作する上で、アルミ、カーボン、チタン、様々な素材が挙げられますが、最も古くから存在する素材として「鉄(スチール)」が今も尚、存在します。この鉄という素材を紐解くとクロモリだったり、ハイテンスチールだったり、価格や性能の良し悪しは数多く存在しています。
その中でも本機に使われているのは4130クロモリのダブルバテッドチューブ。
そもそもクロモリとは?バテッドとは?
この話はよくお店でも聞かれるので、ここで記述しておきましょう。
クロモリとは鉄に「クローム」と「モリブデン」という素材を混ぜたモノのこと。前述した通り最古の素材となり、COLUMBUS、TANGE、KAISEI、REYNOLDSなど、世界的に知られるチューブカンパニーが挙って使用しています。
そしてこれもよくある質問でダブルバテッドとかトリプルバテッドとか、自転車に詳しい方なら一度は聞いたことがあるはず。だけど、一般的には???となるのも十分理解できます。そこで画像を用いて説明。
この画像でお話しすると、1番上がトリプルバテッド。2段目がダブルバテット。簡単に説明するのであれば、チューブに強度を出す為の補強。その異なった厚みを何段階有しているかで〇〇バテッドと呼びます。この厚みの数によって適した軽さだったり強度を確保しています。その中で、今回のLEGACYに採用されたのはダブルバテッド。
あくまでもこのフレームの主戦場はストリートライド(市街地用)となるので、激しいライディングにも耐えうる強度は確保しながら、出来る限り軽く仕上げようというのが恐らく魂胆。トリプルバテッドで仕上げると手の出しにくい価格になったり、街乗りで使う場合に十分な強度が確保できなかったり。そのあたりが最終的な回答として、ダブルバテッドを採用する意図になったのだと感じています。
そこへ更にシームレスという拘りも盛り込まれています。シームレスとは名の通り繋ぎ目無し。一般的に安価な自転車用パイプは繋ぎ目を溶接しているので強度や剛性においてはシームレスに敵いません。何千回も、何万回も踏んだ力をホイールに伝えるフレームなので、製造方法の違いで同じ素材でも雲泥の差が生まれます。動力を素直に伝えるならシームレスを選ぶ他ありません。
1990年代後半、ピストバイクというムーブメントが隆起し世界中に愛され、自転車は移動するだけの物では無くなりました。そこからこの2020年代となり、当時から続くストリートライドはもちろん、この乗り物でトリックしたり、オフロードで遊んだりと多様な事が求められる時代となりました。その時代背景を正しく投影されたのがモダン&クラシックを提唱するLEGACYなんです。
クロモリは一般的に重い。だけど何故だかスイスイ進む?
このフレームに乗った時の第一印象は「驚くほどスムースに進む」これがファーストインプレッション。正直な話、前述したクロモリという素材は重いです。カーボンやアルミの方が一般的には当然軽いです。なのにこの軽快さはなんなんだ!という印象を強く感じました。それはジオメトリー(フレームの設計)によるものなんです。
この表を元に話を進めたいのですが、ちょっとばかりマニアックな話になります。だけど、このLEGACYを気になってる人には必ず知ってほしい部分でもあるので、頑張って読んでください!笑
まずはサイズチャートのF(BB DROP)、J(HEADTUBE ANGLE)、K(SEATTUBE ANGLE)。実はこれ、LEADER社がストリート最速マシンとして世に送り出す735TRと全く同じ設計なんです。アルミやカーボンを素材として纏い、市街地はもちろん、数々のレースシーンでも活躍してきた735TRのアイデンティティである3つの数値をクロモリフレームに落とし込んだLEGACY。このあたりもモダンクラシックと称する最たる理由。
そしてI(CHAIN STAY)の部分。後輪を収めるフレームのセクション。このパイプがかなり短く作られています。全てのサイズで380という数値が設定され、これはLEADER ANGELINOに近く、TYRAN BIKESのフラッグシップモデルであるKAGEROからのインスパイアでは無いかと予測しています。
このF/J/Kの設計と、チェーンステーの短さが加わることにより一体何が生まれるというのか。それは「走行の機敏さ」ここに尽きるのでは無いかと。
まずはBBドロップ。ここが高いと、ちょっと体を傾けただけで鋭くスパッと自転車が旋回してくれます。50という数値は一般的に高く、某ブランドの同じ価格帯のクロモリバイクは走破性能より安定性を重視している為、55から58が一般的。これはTYTANT BIKES創設者の拘りでもあり、最速で軽快に駆け抜けてくれる自転車フレームの要となる部分。
そしてヘッドチューブとシートチューブのアングル。ここは簡単に説明すると、乗車姿勢が進行しているか後退しているか。これは共にメリット・デメリットがあり、アングルが立っていると漕ぎ出し重視の姿勢となり、アングルが寝ていると巡行維持した時の姿勢が楽となりロングライド向けという一般論があります。今回のLEGACYは75°となり、一般的には立っているアングル。ここもLEADER 735TRなどから継承しています。よって「軽い素材を用いていないのに、不思議と軽く進む感覚がある」という体感にロジックが生まれるわけです。
最後にチェーンステー。380という数値も一般的にはかなり短いです。ここで恩恵を受けるのは反応速度の速さ。ペダルに込めた力がフレームに伝わる速度が非常に速い。このLEGACYにおいては異常に速いという感覚に間違いはありません。その短いチェーンステーを活かすべく、シートチューブにはLEADERの十八番であるハイドロフォーミング加工により特徴的なカットアウトを施し、極限までホイールベースを短くすることに成功しています。
どっしりした安定感は求めず、混雑した街中をヒラヒラとすり抜ける感覚、瞬発的な加速感、スムースなコーナリング。このあたりが冒頭でも述べた挙動が驚くほどスムースで、今までのクロモリフレームには無い加速感を体感できるものと理解しています。
乗り手のセンスが光る!拡張性の高さが魅力のフレームでカスタムバイクを仕上げよう。
ちょっと難しい話が続いてしまったので、一度頭をほぐしましょう。笑 カスタムの肝は引き算。足す事は容易くとも引く事は難しい。長らくこのスタンスでお客様にも提案してきましたが、このフレームにおいてはその概念を捨て去ってほしい。数々のギミックから、プロダクトの意図が汲み取れます。
まずは太いタイヤが入る。これが最たる特徴。
一般的に太いタイヤが入る自転車と言われればマウンテンバイクを想像する人が殆どかと思います。だけどこのLEGACYの用途としては街乗り。そう、山では無く市街地がメインフィールドなんです。そこで太いタイヤを採用するメリットとしてはやはり安定感。原宿店店長の僕自身も今年で38歳となります。20代の頃に楽しんでいた走りとは異なり、今は快適に、楽に走行できるという要素もピストバイクへ求める年頃となりました。ムーブメントの創世記を体験している人はきっと同じ考えの人多いはず。
このLEGACYに関しては最大で35cのクリアランスを確保しています。タイヤによってはインストール不可なものもありますが、今までLEADERやTYRANT BIKES、さらにはDOSNOVENTAで組み込まれてきた23mmや25mmのタイヤサイズとは明らかにルックスも走破性能も異なります。
アスファルトの凹凸、予期せぬ落し物、段差、悪路、人混み、風。道路が綺麗に整備された日本とはいえ、その情報量は常に豊富。単純に走るというだけでも、様々なことに気を配らないと思わぬトラブルを招いてしまいます。この条件下で限りなくリラックスした走行を楽しむのであれば、32mm-35mmほどのタイヤをセレクトせざる追えない世の中なのは、昨今変わりません。また、現在世界中で開催されているツールドフランスやトラックレース、その他競技でも、おおよその選手が25mm-32mmほどのタイヤを採用し高順位を叩き出しているという背景から、太いタイヤが細いタイヤに回転性能で劣るという言い伝えはもはや死語とされています。
そしてもう一つはシートステーに取り付けられたダボ穴。これはリアラックを取り付ける為のギミックであり、これも冒頭で話したように"多様性" を求められる時代ならではの構造としてプロダクトされています。
フロントとリアにラックを取り付けてカバンを収めれば、日々の通勤をもっと楽にする。着替えとギアを積載してキャンプに出かける。スケートパークまでボードを括り移動用の自転車として使う。まさに乗り手のセンス、ライフスタイルをしっかり支えてくれるカスタムを楽しめるというのが、このLEGACYの面白いところ。
カスタムという部分で最後に話しておきたいのは、敢えてシンプルなルックスでフレームを仕上げたというところ。ここも拡張性の高さを担う部分となり、例えばポリッシュのホイールを前後に組み込んだり、カーボンホイールを組み込んだり。カラーパーツで仕上げるも良し、シックにブラックパーツ縛りで仕上げるも良し。乗り手のセンス次第で十人十色のカスタムが楽しめるんです。LEADER 735TRであれば〇〇だよね、DOSNOVENTAであれば〇〇だよね、という概念が全く無いです。是非あなたのセンスと乗る場所や頻度を熟考し、セレクトするバーツを一緒に選んでみましょう。横浜店ジュンキの考え方や、元スタッフのノリが組んだLEGACYとか、参考になりますよ!
"SON OF SON"息子からその息子まで
LEGACYという言葉は直訳すると"遺産"を意味します。僕自身が惚れ込んでいるカルチャーであるバイク業界で有名な言葉としてSON OF SONという言葉があります。息子から息子へ。BROTURESは自転車業界で長年に渡り培ってきた経験を後世に伝えるというテーマを持った集団、父親は自らの知識や経験を子供に伝え成長を見守る、このLEGACYもこの時代を駆け抜けて、次の世代へバトンタッチするするという願いを込めたフレームだったりします。クロモリという自転車を象徴する素材を用いて、設計やギミックを現代のニーズに合わせ、まさに時代を象徴する最適解のフレームとして次世代のライダーに継承していってほしいというモノ。この先の10年20年、さらには半世紀後も700cのタイヤを豪快にスキッドしている若者を見ることが出来たら、BROTURESもLEGACYも、存在意義が生まれます。
このようにLEGACYに纏わる設計のお話であったり、特徴的な走破性能、組み方などを網羅的に今回はお話しさせてもらいました。
そしてこれは注記しておきたいところ。
LEGACYは今回の再入荷分で最後の入荷となります!!
しかも本数は20本にも満たないらしいです。だけどこの熱量で文章を書いたのには、それなりの理由があるから。本当にピストバイクを愛する人の手へ、一本一本丁寧に送り出したい。BROTURES全スタッフが想っている願いです。
是非このピストバイクに跨って、皆さんのライフスタイルをより良いものにしてもらえたら僕らも嬉しいです。
ご購入、ご相談はBROTURES各店舗、またはオンラインストアにてお願い致します。
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