TYRANTはピストの新しいジャンルを開拓したんじゃないか。

グループライドってほども走らないユルすぎる2nd Saturdayってのをやってます。
毎月第二土曜日に別にお客さんを集めるわけでもなくスタッフだけで1,2時間ダベるだけの恒例行事。

先日はTYRANTのセールが始まった直後だったのでせっかくだから皆んなが気になってるモデル乗っちゃおうよ。
って思いつきでお店からBEASTIEとMONARCHを拝借してライドオン。

ぶっちゃけKAGEROが良いのは皆んな知ってるからね。
未知数な部分が多いこの2モデルが今回の本命ってワケ。

結論から言うと
「完成車の純正パーツで乗るのはもったいないわ」
というのが僕の感想でした。

まず、この2モデルはKAGEROや派生元のLEADERのピストと違って、圧倒的に乗り心地が柔らかい。
大阪店スタッフの鳥山くん(REN)が最近BEASTIEを新しく組んで
BEASTIEの乗り味は実にソフトで安定感があり、例えるなら"セダン"のような感覚。」
という表現が言い得て妙だなと。

 

 

・コンセプトと違和感

発売当初、僕はこの2モデルに違和感を感じてました。
なぜならLEADERのラグジュアリーブランド=ハイエンドとしてリリースされたのに、それらに使われている素材は6061-T6だったのです。

これはアルミニウムの品番なのですが、一般的にエントリーグレードの自転車に用いられることが多い比較的柔らかい素材です。
「おいおいSAL(創設者)、ちょっと手抜いてんじゃない?」
って思ってました。
DosnoventaやCINELLIなどには7000番台、KAGEROも6069-T6など、いわゆるアルミのハイエンドバイクには”硬い”品番が使われるのが定石です。

これは素材が硬い分、パイプを薄く形成でき車重を軽くすることができるからです。
なんとなく「高いチャリ」=「軽い」みたいなイメージを皆さんもお持ちだと思います。

ということは「軽いチャリ」=「硬い」という式も成り立ちます。
ピストバイクにおいては、よりダイレクトでクイックなレスポンスを得ることができ、それが良いとされてきました。
ですが、それをピーキーだと感じてしまう人の方が多いのではないか?
とSALは疑問を持ったのではないかと僕は推察します。

そしてその答えがBEASTIEとMONARCHなのでは?

 

 

 ・重いのに軽いという新しいジャンル

冒頭の柔らかい乗り心地の秘密は素材にありました。
"硬すぎない"素材を用いてクセのない安定感のある乗り心地を実現しました。
でもそれだけじゃあただの重くてダルい自転車になってしまいます。
そこに対してSALは少し前に日本に来た時に「乗ればわかる」としきりに言っていました。

"硬すぎない"素材は加工がしやすいとされています。
詳しいことは企業秘密だそうですが、TYRANTは「素材」ではなく「加工」の部分でこの問題を克服しました。

実際、BEASTIEは上記のハイエンドバイクのパイプと比べると約2倍ほども肉厚なんだそう。
その分耐久性に優れるメリットはありますが、物理的に軽いフレームとは言えません。
MONARCHに関しても似たような傾向があります。

それなのに先日の2nd Saturdayで乗った印象は「漕ぎ出しはギア比ほど重く感じないのに、ギア比の通りに伸びるな」って感じ。
何よりビックリしたのが純正ホイールの重さです

手で持ち上げると「え!こんなに重かったの!?」

よくロードバイクで"鉄下駄"なんて表現をしますが、まさにそれ。

重いフレームに、重いホイール、なのにそれに気付かないくらい漕ぎ出しが軽かった。

ようやくSALの思い描く理想のピストバイクを少しだけ理解できた気がしました。
軽くて硬くてキュンキュンなトラックバイクだけがハイエンドなのではないと。
別に自転車は担ぐものでもないし、乗り心地が軽ければ実際の車重なんて気にならないのだと。

 

・純正パーツのままじゃもったいない

これは大変なことだぞ。。。
こんな重いホイールついててこれならカスタムしたらどうなっちゃうのよ。
もう試さずにはいられません。気がついたら僕の私物のHEDのホイールに付け替えていました。

「いや、かるっ!」

硬いフレームはスポーツカーのようなアクセルを踏んだ瞬間からギュンっとスピードが出るようなレスポンスがあります。
対してMONARCHとBEASTIEは電気自動車の高出力モーターのような加速度的に滑らに伸びる印象を受けました。

こんなにポテンシャルがあるなんて。
柔らかく、安定感のある乗り心地で初心者の方にもオススメできるピストバイクです。
そしてさらにこんなに伸び代を残しているなんて面白すぎる。

MONARCHとBEASTIEはカスタムしてこそ、より楽しめるピストバイクなのです。

 

・MONARCHとBEASTIEどちらを選ぶべきか?

ここまでザックリと上記の2モデルをまとめて紹介してしまいましたが、しっかりと異なる味付けがされています。

BEASTIE... 本当にクセがない。ピストバイクらしさを残しつつ、安定感と耐久性があるので通勤やトリックなどで遊びたい人に向いてる気がします。

MONARCH... BEASTIEより少しハンドリングはクイック。加速感も強いのでテクニカルなルートを素早く移動できます。レースはもちろん、入り組んだ市街地も小気味よくスムーズに走破できるでしょう。

快適性やユーティリティを求めるならBEASTIE
より安定したスピード感を求めるならMONARCH

こんな棲み分けができると思います。

 

・どんなカスタムをするべき?

個人的にはどちらの完成車も足回りをカスタムするべきかと。
特にホイール。そんなに高いホイールじゃなくても十分です。

また、BEASTIEに関してはクランクも2ピースのダイレクトクランクにすることで、そのポテンシャルをより発揮してくれると思います。

どちらも柔らかい乗り心地が特徴なので、カスタム次第ではボヤけたフィーリングになってしまいます。
できればカチッと剛性感の強いパーツがおすすめです。

じゃあ具体的にどんなカスタムが良いのか?
それは次回のブログで改めて詳しく解説してみたいと思います。
すでにTYRANTに乗っていたり、セールを機にこれから買っちゃおうかなって悩んでる方は必見ですよ!
近いうちにまたお会いしましょう!

Toshi

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