最速にして最高峰。DOSNOVENTA購入前に必読してほしいジオメトリーのお話。

間も無く待望の再入荷を果たすDOSNOVENTAのLOS ANGELESとDETROIT。この2モデルはブランドのフラッグシップモデルとして設立以来愛される名車。

BROTURESのブログでも度々「最高峰のモデル」「街乗り最速のフレーム」と称してご紹介してきましたが、本日ご紹介するのはもう少しマニアックなお話。なぜ最高峰なのか、なぜ最速なのか。それはジオメトリー(フレームの設計)によるものとなります。

本記事では少々マニアックな記述となりとても長い文章となりますが、既にご乗車して頂いている皆さんはじめ、これから購入を控えている人も是非押さえておいてほしネタです。それではご一読下さい!

1、なぜ最速のフレームと称されているのか?

最速のフレーム?え?自転車って人力で漕ぐでしょ?それならマシンスペックを上げるだけじゃなくて、エンジン(自分)のトレーニングが近道なのでは?まあ、それは一理あります。脆弱な脚力より、日々鍛錬を重ねた剛健な脚で漕いだ方が速く漕げるに決まっている。

だけど、週5日の会社勤めで土日も家族サービスをしなきゃいけない僕らのようなホビーユーザーには、競輪選手のような逞しい脚を手に入れるのは至難の業。

そうなるとやはり、マシンスペックに頼らざる終えません。

そのマシンスペックにおいてDOSNOVENTAフレームが他のフレームと比べて秀でている点。それは非常にタイトなホイールベースにあります。このホイールベースとは前後のハブ軸を結んだ距離の事。下の画像を参考にしてみて下さい。

ピストバイクのフレームは無数に存在し、BROTURESで取り扱っているLEADER、CINELLI、競輪のNJS、そしてこのDOSNOVENTA。全てのモデルが意図したホイールベースを有し、マシンキャラクターを大きく左右しています。

この設計が影響を与える部分としては直進安定性と乗り心地。一般的にはレース向けの設計ほど短く、 街乗りやロングライド向けに設計されたものほど長くなる傾向にあります。

その中でこのDOSNOVENTAは「タイトなホイールベース」という部類に入ります。デメリットとして捉えて欲しいわけではありませんが、正直な話で安定性能は下がります。しかしタイトな設計により得られるメリットとしてぺダリング時の反応が良くなったり、ストップアンドゴーが多い街中でのライディングでキビキビした乗り味になったりします。大事なところがカタカナで申し訳ありません。笑

後述するフォークレイクやチェーンステーにより変化しますが、ホイールベースが極めてタイトなこのフレームは非常に加速性能が高く、レスポンスの良い乗り味になります。これがまず最速と称されるDOSNOVENTAの特徴。

2,街中を"ひらひら"と駆け抜ける独特の走破性能はBBドロップによるもの。

このBBドロップは目視で非常に分かりづらい設計箇所です。BBドロップとは、前後ハブ軸を結んだ線から、BB中心部へ垂直方向に計測した距離のこと。

小さくてごめんなさい笑 先ほどのホイールベースを黒い線として引き、その延長線上からBBへ向けて引いている赤線の距離をBBドロップと言います。

この距離が大きいほど低重心で、カーブや直進での安定性が増します。その反面、距離が短い程、安定性は損なわれますが、より加速しやすく、キビキビした乗り味にすることが可能です。ここでもやってきました。「加速しやすいキビキビとした乗り心地」という言葉。本当、このフレームはその意図に対して非常にピュアな設計を用いているんです。

さらにこのDOSNOVENTAの真骨頂と言って良いのがグラウンドクリアランスの290mmという数値。この290、実はDOS=2とNOVENTA=90というブランド名の由来ともなっています。彼らがラインナップする製品の特徴を示すモノとして、または彼らのアイデンティティとしてファンならば必ず認識すべき数値かと思います。

そして、この290というクリアランスは地上からBB軸までの高さを表した数値。

赤線の地上から、赤矢印にて記してあるBB軸までの距離をBBハイト(グラウンドクリアランス)と言います。この距離はBBドロップとの関係性が高く、ドロップ値が短くなればなるほどBBハイトは高くなります。対してドロップ値の距離が長いと、当然地面への距離は近くなります。

例えばオートバイクの話。整備されたコースで限界ギリギリでコーナーを攻めるスポーツバイクは鋭い倒し込みをするためにステップの位置やシートが高くなっている。対する、ハーレーなどに代表されるアメリカ大陸を悠々にクルージングするモデルは、長い距離を長い時間かけて走るため、低く安定した楽なポジションを備えています。

この例えであればピストバイクはスポーツバイク。雑踏をすり抜ける鋭利なコーナリング。信号が赤から青に変わったタイミングで脚力を動力に変えるレスポンスの速さ。この辺りが街乗りピストバイクには求められているんです。

そして色々記事を読み漁っている方なら一度は目にしたはず「ペダルヒット」。このヒットとはコーナリングを倒して走破した時に傾けた分、ペダルが地面にヒットして転倒してしまうというトラブルのこと。BBハイトが高く、BBドロップが短ければこのトラブルも回避されたり、よくセットアップされている165mmのクランク長ではなく、身長やシーンに合わせ167.5mmや170mmのクランクも選択肢として増える。

というように、このDOSNOVENTAはどのファクターでもクイックネス、ファストネスな設計が施されているので、故に最速と称されています。

分かりやすい図も拾ってきたので、良かったら参考までにご覧下さい。

DOSNOVENTAフレームは各設計が左の項目に値します。むしろ、ピストバイクに求める要素は皆さん左ではないでしょうか?その要望を高次元で叶えてくれるフレームがこのマシンの特徴。最速にして最高峰という所以です。

3,計算され尽くしたトレイル値。

この2つの数値も結構マニアックな部分として認識され、あまりブログでも紹介してこなかった、、、はず。まずはヘッドアングルのご説明。画像の矢印をご覧ください。

矢印が示す赤線の角度。てっぺん向いている状態が90°だとして、地面からどれだけ起きているかの数値を表したもの。ピストバイクの中でも特に角度が立っているとされるLEADERが75°、そしてこのDOSNOVENTAはLAが73.5°、DETROITが74°となりちょっと寝ています。ピストバイクではありませんが、GIANT、TREK、CANNONDALEなどの現行ラインナップは71°-73°がポピュラーとなっています。それの中間に値するDOSNOVENTA。街乗りを重要視して作られた自転車よりも若干角度が立ち、ピュアなトラックレーサーバイクをモチーフとしたLEADERよりは若干角度が寝ている。

そしてお次にフォークオフセット。こちちも図で一先ずご紹介しましょう。

この短く赤い、矢印で示している線がオフセット。この距離はLEADERが28mmに対し、DOSNOVENTAは45mm。

そして、このヘッドアングルとオフセットが織りなす値をトレイル値と呼びます。

あれ?ヘッドアングル寝てて、オフセットも広い?角度が立ってた方が操縦性能は高いはずじゃ、、?ってことは、さっき言ってたクイックネスとは、、、。と、誰しもが思うはず。

そこがトレイル値の面白いところ!!

この両数値から導き出されたDOSNOVENTAのトレイル値は52-55mmとなります。参考までにヘッドアングルも立ち、オフセットも短いLEADERは凡そ61mm前後。さらに参考として記述しておくと、ロードバイクが58mm、街乗りクロスバイクが68mm、マウンテンバイクは76mmと一般的な中央値として言われているそう。ロードバイクは多用途なので、トレイル値が58mmを中心にばらついていたり。マウンテンバイクはオフロードの悪路に対処するため、ロードバイクやクロスバイクよりも走破性能、ハンドリングの安定性を重視していることが分かります。

オフセットが長いと、必然的にトレイルも長くなるはずと直感的に思いがちではありますが、実際はその真逆。オフセットが長ければトレイル値は短くなる。これもめちゃくちゃ分かりやすい拾い画像をGETしたのでご覧ください。

DOSNOVENTAフレームはこのトレイル値を極端に短くすることで、ハンドリングの操縦性能、旋回性能も兼ね備えているんです。

この3つの要素を踏まえ言えることは、、、

タイトなホイールベース+高いBBドロップand高いBBハイト+短いトレイル値=最速のフレーム

長々と書きましたが、これを伝えたかったわけです。これらの要素が理由となり、僕らは最高峰の最速フレームだよと日頃伝えているわけです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。でも、本日はまだまだ皆さんの目と親指をイジメ抜いて観たいと思います!頑張って画面をスクロールしてください!

次にご紹介するのは横浜店で組み上げたDETROIT HI-VISカラーのカスタムバイク。兎にも角にも、まずは車両をご覧になってください。

今回のテーマは「補色」。只でさえ眼に余る鮮やかなHI-VISのカラーに、チラチラと見え隠れするのは、、、

VELOCI ROLLCii HUB RC20 FRONT ¥13,750 / REAR ¥14,850(各税込)

台湾のVELOCI CYTCLEという新鋭ブランドが送るパープルアルマイトのトラックハブを前後にセットアップ。昔は台湾メイドというだけで安価なイメージが先行していましたが、今はもう台湾メイドを安物扱いする人は居なくなりましたね。自転車ファンであればあるほど。

この価格帯でハンドメイドとなり、某有名なイタリアンカンパニーと同じ工房で作製しているハブ。

気になる回転性能はDURA-ACEのように軽やかに回るものでは無く、どちらかといえばPHILWOODやPAULに近く、ちょっと抵抗を感じる滑らかな回転性能。最速のフレームDOSNOVENTAに合わせてチョイスしたこのハブが数年使うことでどうやって育ち回転性能が変化して行くのか、非常に楽しみで仕方ありません!

アルマイトの発色、ハブボディのリブ、回転性能、そして安い!!完全に自分好みなアイテム。

そして腰上パーツ。コックピット周りとシートポストにはDEDA製品を採用。

DEDA ELEMENTI PISTA DROP BAR ¥10,000(税込)

BURGH BARTAPE ¥5,500(税込)

DEDA ELEMENTI SUPER ZERO SEATPOST POB ¥31,100(税込)

DOSNOVENTAのすごいところ。世界規模のレースへ参戦される時、コンポーネントはDEDA、ホイールはHEDなどからエンドース契約を受けていたという実績。超一流からも認められたマシンスペックは、このような経緯からも垣間見ることができます。

最近流行りのフラットバーも良いけど、やっぱりトラックバイクに跨るならトラックドロップバーで一度は乗ってみたいもの。DOSNOVENTAが持つ最速というポテンシャルを最大限活かしたい。そんな衝動に狩られるのは、このフレームを選んだ時点で必然。

どうやって組んでどうやって乗るのか。そんなのは自由だし、その人自身が決めれば良いこと。だけど、ピストバイクのフレームにだってきっと自我があります。こうやって乗ってほしい、もっとスピード出してほしい。コーナー攻めてほしい。そんな想いに応えるべしと組み上げたカスタムバイクをご紹介しました。

DOSNOVENTAに限らず、既にピストバイクを乗っている方も「自分が乗っているピストバイクのキャラクターはどんな感じなんだろう?」と一度振り返ることで、カスタムや走り方に新たなアイディアが浮かぶのではないでしょうか。

最後に。

本日ご紹介したDOSNOVENTAですが、BROTURESのスタッフ使用率もかなり高いです。横浜店で言えばメカニックの石田。

同じく関東圏では原宿店のゴリや小野などがDOSNOVENTAユーザーとしてお店に立っています。

DOSNOVENTAのあれやこれを色々語ってみましたが、結局は乗っている本人たちに聞いてみるも良し。是非ご検討中の方は彼らを指名して尋ねてみてくださいね。

それでは長々とありがとうございました!DOSNOVENTAのご注文、ご予約、お待ちしています。

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